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琉球犬はなぜ「幻の犬」と呼ばれるのか

編集:365おきなわ編集部
琉球犬はなぜ「幻の犬」と呼ばれるのか
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琉球犬とは、沖縄に古くから暮らす日本在来犬で、沖縄県指定の天然記念物です。 イノシシ猟で働いてきた系統として語られ、飼い主には忠実、知らない相手には慎重、という気質が残ると保存団体は説明しています。純血に近い個体が少ないため「幻の犬」と呼ばれることがありますが、この呼び名自体は県の公式ページには出ていません。

この記事の要点

  • 国指定ではなく県指定の天然記念物(平成7年12月22日指定)。国の6犬種には入っていない
  • 「幻の犬」は純血に近い個体が少ないため。県の公式ページの呼び名ではない
  • 特徴は保存会側の案内:逆八の字の立ち耳、後ろ脚の狼爪、舌斑、差し尾。系統は山原系と八重山系
  • 保存会は2024年7月に再建。譲渡には保存会への参加が条件

国の天然記念物ではなく、県の天然記念物

よく混同されるので、指定の範囲を分けておきます。公益社団法人日本犬保存会が掲げる国指定天然記念物の日本犬は、柴・紀州・四国・甲斐・北海道・秋田の6種です。琉球犬は入っていません。一般社団法人ジャパンケネルクラブの2025年犬籍登録にも、琉球犬の種名はありません。

一方、沖縄県の文化財要覧(令和7年5月1日現在)では、県指定天然記念物の第16に「琉球犬」があり、指定日は平成7年12月22日、所在は南風原町字与那覇です。国指定ではなく県指定です。南風原町の町指定一覧には、町指定の天然記念物としてガジュマル群とフクギ群だけが載っており、犬は県の指定として扱われています。

県教育委員会は『沖縄県在来畜養動物実態緊急調査報告書』を天然記念物調査シリーズとして刊行しており、沖縄県公文書館の目録にも第34集に琉球犬と保存会の活動が見えます。立ち耳や巻尾、舌斑といった体の細部は、県のHTML解説では確認できませんでした。保存会側の説明として読む方が安全です。

保存の話と、出会ったときの距離

戦後の社会変化や他犬種との交配、飼育環境の変化で、血統を保てる個体は減っていきました。平成2年に獣医師の新垣義雄氏が琉球犬保存会を立ち上げ、のちに活動が途切れ、宮古島側で再建された、と令和7年の会則にあります。会則は「琉球犬が沖縄県の天然記念物であることを理解し」と書いています。頭数の増減や「絶滅」に近い表現は団体側の報告で、県の統計ページではありません。

街中やイベントで出会えたら、特別な機会として受け止めてください。無理に触らず、写真も飼い主の案内に従うのが、指定動物への礼儀です。シーサーや赤瓦と同じく「沖縄らしさ」の象徴に数えられることがありますが、犬種そのものより、島の猟と暮らしが残した生き物として見る方が、県指定の意味に近いです。

旅先で保護施設や展示に触れる場合も、最新の会の案内を見てください。ペットショップの「琉球犬風」と、県指定の系統は別です。

体の特徴と、いまの保存活動

体の細部は、保存会側の案内にまとまっています。琉球犬保存会と連携し、宮古島支部として保護・繁殖を担うMiyakojima Animal Parkの案内では、漢字の「八」を逆さにしたような逆八の字状の立ち耳(たれ耳の個体もいる)、通常は前脚にある狼爪(ろうそう)が後ろ脚にもあること(最近は持つ個体が2〜3割ほどに減っているとされる)、舌の黒い模様である舌斑(ぜつはん)、刀身のような形の差し尾、額から鼻先への段差(ストップ)が浅いことが挙げられています。

毛色にも呼び名があります。虎毛は「トゥラー」、赤毛は「アカイン」で、保存会が認定していた毛色は赤トゥラー、白トゥラー、黒トゥラー、アカイン(ゴールドアイ)、アカイン(マスク)の5種類です。系統は2つあり、山に入って狩りをするために小回りがきくよう胴長短足で小さい山原系と、馬に乗って狩りをする人に追いつけるよう体が大きく持久力のある八重山系と説明されています。大きさは中型犬で、犬種資料では体高オス48〜52cm・メス47cm、体重16〜20kgと紹介されていますが、資料によって数字には幅があります。

保存活動の現在も、同法人の案内で追えます。保存会は2024年7月に立ち上げ直され、登録・血統管理・繁殖を再開しました。宮古島では2025年に子犬の誕生が案内され、沖縄県立中部農林高等学校の琉球犬研究チームと協力した繁殖では、2026年2月に同校で6頭の子犬が生まれたと報告されています。譲渡には保存会への参加が条件で、「飼う」こと自体が保存活動と結びついています。

参考資料・出典

日本犬保存会:国指定天然記念物の6犬種。

ジャパンケネルクラブ「犬種別犬籍登録頭数」:2025年登録に琉球犬は含まれない。

沖縄県「国・県・市町村指定文化財」(令和7年5月1日):県指定天然記念物「琉球犬」平成7年12月22日。

沖縄県公文書館目録「天然記念物調査シリーズ 第034集」:琉球犬と保存会。

琉球犬保存会規約(令和7年):平成2年設立と再建。

Miyakojima Animal Park「琉球犬保護活動」:逆八の字状の立ち耳、後ろ脚の狼爪、舌斑、差し尾、認定毛色5種類、山原系・八重山系。2024年7月の保存会再建、繁殖と中部農林高等学校との協力。

いぬのきもちWEB MAGAZINE「北海道犬、甲斐犬、四国犬、琉球犬…日本犬の魅力に触れよう!」:体高オス48〜52cm・メス47cm、体重16〜20kg(『日本の家畜・家禽』を参考にした犬種データ)。

よくある質問

Q. 琉球犬は国の天然記念物ですか?
いいえ、国指定ではなく沖縄県指定の天然記念物です。県の文化財要覧(令和7年5月1日現在)では、県指定天然記念物に「琉球犬」があり、指定日は平成7年12月22日です。日本犬保存会が掲げる国指定天然記念物の日本犬は、柴・紀州・四国・甲斐・北海道・秋田の6種で、琉球犬は入っていません。
Q. なぜ「幻の犬」と呼ばれるのですか?
純血に近い個体が少ないためです。戦後の社会変化や他犬種との交配、飼育環境の変化で、血統を保てる個体は減っていきました。なお「幻の犬」という呼び名自体は、県の公式ページには出ていません。
Q. 琉球犬の体の特徴は?
保存会側の案内では、漢字の「八」を逆さにしたような逆八の字状の立ち耳(たれ耳の個体もいる)、通常は前脚にある狼爪が後ろ脚にもあること、舌の黒い模様である舌斑、刀身のような形の差し尾、額から鼻先への段差(ストップ)が浅いことが挙げられています。系統は、胴長短足で小回りがきく山原系と、体が大きく持久力のある八重山系の2つと説明されています。
Q. 琉球犬は飼えますか?
保存活動と結びついた形になります。保存会は2024年7月に立ち上げ直され、登録・血統管理・繁殖を再開しました。宮古島では2025年に子犬の誕生が案内され、沖縄県立中部農林高等学校の琉球犬研究チームと協力した繁殖では、2026年2月に同校で6頭の子犬が生まれたと報告されています。譲渡には保存会への参加が条件です。ペットショップの「琉球犬風」と、県指定の系統は別です。