そもそも「旧暦」ってなに?月のリズムで考える昔ながらの暦

旧暦とは、月の満ち欠けをもとに、太陽の動きも加味した暦(太陰太陽暦)のことです。 普段、私たちが使っているカレンダーは「新暦(しんれき)」と呼ばれるものです。
この記事の要点
- 旧暦では新月の日が月の1日。1か月は平均約29.5日、12か月で約354日
- 太陽暦との約11日のずれは「閏月」を入れて調整する(19年に7回ほど)
- 日本の公式の暦は1873年(明治6年)に太陽暦へ切り替わった
- 沖縄では旧正月や旧盆(旧暦7月13〜15日)など、旧暦の行事が今も残る国立天文台は、現在の暦を太陽の動きをもとにした「太陽暦」(グレゴリオ暦)と説明しています。一方、太陽暦が明治6年に採用される以前の日本では、月の満ち欠けをもとに、季節をあらわす太陽の動きを加味した「太陰太陽暦」が使われていました。
一口に太陰太陽暦といっても、歴史の中ではいくつもの暦法がありました。国立天文台によると、太陽暦への改暦の直前に使われていた「天保暦」のことを、一般には「旧暦」と呼んでいます。旧暦では、月が新月になる日をその月の1日とし、次の新月までを数えます。新月から新月までは平均して約29.5日です。
今のカレンダーとは少し違いますが、昔の人々にとって旧暦は、農作業や季節の行事、暮らしの節目を知るための目安でした。
旧暦はどうやって季節とズレないようにしていたの?
月の満ち欠けだけを基準にすると、12か月は約354日になります。太陽の動きをもとにした1年は約365日。国立天文台は、この差が約11日で、そのままではだんだん季節とずれてしまう、と書いています。そこで太陰太陽暦では、ずれがひと月分に近くなると「閏月(うるうづき)」を入れて修正しました。3月の次に入れば「閏3月」と呼ばれ、その年は13か月になります。閏月は、平均すると19年に7回ぐらいの割合で入ります。
そのため、同じ旧暦の日付でも、現在の暦に換算すると年ごとに違う日になります。国立天文台の例では、明治3年1月1日は現在の暦の2月1日、明治4年1月1日は2月19日です。
日本の公式の暦が切り替わったのは、明治5年(1872年)11月9日の太政官布告第337号です。国立公文書館によると、1年を365日・12か月とし、4年ごとに閏年を置くこと、旧暦の明治5年12月3日を新暦の明治6年1月1日とすることが定められました。沖縄県公文書館も、1873年(明治6)1月1日から太陽暦に切り替わった、と書いています。
ただし、いま日本で「公式な」太陰太陽暦の計算は行われていません。国立天文台も、「今日は旧暦の何日か」といった問い合わせには、はっきり答えられないことがある、と案内しています。旧暦の日付を確認するときは、民間の換算表や地域の行事案内を見る必要があります。
沖縄に残る旧暦文化と、自然のリズムを大切にする暮らし
旧暦は、今も日本各地の行事と関わっています。国立天文台は、「中秋の名月」が太陰太陽暦の8月15日の夜の月であること、「七夕」も本来は太陰太陽暦の7月7日だったことを例に挙げています。
沖縄では、旧暦に沿った行事が今も色濃く残っています。公文書館は、潮の満ち引きなどと結びついた「旧正月」を祝う風習が残っている、と書いています。旧盆は旧暦7月13日から15日。13日がウンケー(お迎え)、14日がナカヌヒ(中日。口語ではナカビとも)、15日がウークイ(御送り)です。
これは、単なる日付の違いではありません。月の満ち欠けや自然の移り変わりを感じながら暮らしてきた、沖縄の人々の知恵や祈りが込められた文化です。忙しい毎日の中では、カレンダーの日付だけを見て過ごしがちです。夜空の月を見上げてみると、昔の人たちが感じていた時間の流れに少し近づけるかもしれません。
旧暦は、自然とともに生きてきた暮らしを今に伝える、静かな道しるべのような存在です。
参考資料・出典
国立天文台「『旧暦』ってなに?」:天保暦を旧暦と呼ぶこと。新月始まり。約354日と閏月(19年に7回)。公式な旧暦計算は行っていないこと。
国立公文書館「太陽暦が採用される」:明治5年11月9日の太政官布告第337号。旧暦12月3日を明治6年1月1日としたこと。
沖縄県公文書館「旧正月」:明治6年からの太陽暦切替。沖縄に残る旧正月。
沖縄県公文書館「旧盆」:旧暦7月13〜15日。ウンケー、ナカヌヒ、ウークイ。
よくある質問
- Q. 旧暦とは何ですか?
- 月の満ち欠けをもとに、季節を表す太陽の動きも加味した「太陰太陽暦」のうち、改暦の直前に使われていた天保暦を、一般に旧暦と呼びます。新月になる日をその月の1日とし、次の新月までを1か月と数えます(国立天文台の解説)。
- Q. 旧暦と新暦の違いは?
- 新暦は太陽の動きをもとにした太陽暦(グレゴリオ暦)で、日本では1873年(明治6年)1月1日から使われています。旧暦は月の満ち欠けが基準のため月日が季節とずれやすく、同じ旧暦の日付でも、新暦への換算は年ごとに変わります。
- Q. 閏月(うるうづき)とは何ですか?
- 旧暦の季節のずれを直すために入れる、余分の月です。月の満ち欠けだけでは1年が約354日となり、太陽暦より約11日短くなります。ずれがひと月分に近づくと閏月を入れてその年を13か月にしました。平均すると19年に7回ほどの割合で入ります。
- Q. 沖縄に残る旧暦の行事には何がありますか?
- 旧正月や旧盆が代表的です。旧盆は旧暦7月13日から15日で、13日がウンケー(お迎え)、14日がナカヌヒ(中日)、15日がウークイ(お送り)です。中秋の名月も、太陰太陽暦の8月15日の夜の月を指します。


