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「豚は鳴き声以外、全部食べる」沖縄の豚肉文化ってどんなもの?

編集:365おきなわ編集部
「豚は鳴き声以外、全部食べる」沖縄の豚肉文化ってどんなもの?
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沖縄の豚肉文化とは、豚を部位ごとに余すところなく使い切る食文化のことです。 沖縄の食卓に並ぶ沖縄そば、ラフテー、中身汁にチーイリチャー。これらの料理を支えているのが豚肉です。

この記事の要点

  • 「鳴き声以外は全て食べる」が合言葉。部位ごとに料理の名前がある
  • アグーは約600年前に中国から伝わった島豚の系統。絶滅したと思われていたが、1981年に約30頭が確認された
  • 代表料理はソーキ(あばら肉)、ラフテー(三枚肉の角煮)、ミミガー(耳)、中身汁(内臓)
  • 「沖縄アグー豚」と「沖縄アグーブランド豚」は、交配の基準が違う別の呼称しまくとぅばで肉を「しし」と呼び、「しし」といえば豚を指すほど身近でした。農林水産省も内閣府も、「鳴き声以外は全て食べる」という言い回しで、この使い切りを紹介しています。

アグーは「絶滅したと思われていた」島豚

沖縄県は、アグーを約600年前に中国から伝わった島豚の系統だとしています。沖縄県アグーブランド豚推進協議会は、明から導入された、と一歩具体的に書いています。内閣府の復帰50年特集は、15世紀前後に福建省あたりから伝わった、としています。室町時代という語は県の畜産ページには出ていません。

戦後、西洋品種との交雑で頭数は激減しました。協議会は「絶滅したと思われていた」と書き、1981年に名護博物館の調査で約30頭が確認され、18頭を県立北部農林高等学校に集めて戻し交配した、と経緯を残しています。2011年には「沖縄アグー豚証明規程」ができました。絶滅した、と断定する公式文はありません。粟国島(アグニ)と名前がつながるという説も、県や協議会のページにはありません。

部位ごとに、料理の名前がある

農水省「うちの郷土料理」では、部位と料理が対応しています。ソーキは豚の骨付きあばら肉。柔らかく煮て澄まし仕立てにするソーキ汁と、沖縄そばにのせるソーキそばがあります。ラフテーは皮付きの三枚肉を、砂糖・醤油・泡盛で長く煮込んだ角煮です。ミミガーは耳、ティビチ(足ティビチ)は豚足を昆布や大根と煮る料理です。内臓は「中身」と呼ばれ、中身汁になります。

顔の皮を使うチラガーや、脂身の塩漬けスーチカーは、県民の食卓ではよく知られています。ただし農水省の郷土料理一覧に独立項目はありません。祭事で一頭を分け合う習慣も、文献や聞き取りには残りますが、今の日常の買い方はスーパーの部位売りが中心です。

内閣府は、18世紀以降に庶民の食卓へ広がった、と整理しています。王族の献上品から各家庭の庭先へ、という一本の物語より、冊封や交易で入った豚が、長い時間をかけて島の蛋白源になった、と見た方が公式の書き方に近いです。食堂でソーキそばとラフテーが並ぶのは、その使い切りの名残です。

部位と料理の対応表

上の文章で紹介した対応を、表にまとめ直すとこうなります。

部位料理特徴
骨付きあばら肉ソーキ汁、ソーキそば柔らかく煮て、ソーキ汁は澄まし仕立て。そばの具にもなる
皮付き三枚肉ラフテー砂糖・醤油・泡盛で長く煮込んだ角煮
三枚肉(脂身)スーチカー脂身の塩漬け
耳ミミガー部位の名がそのまま料理名になっている
豚足ティビチ(足ティビチ)昆布や大根と一緒に煮る
内臓中身汁内臓を「中身」と呼び、汁物にする
顔の皮チラガー県民の食卓でよく知られる部位料理

アグーと一般的な豚肉の違い

名前の使い分けも押さえておくと、買い物で迷いません。沖縄県アグーブランド豚推進協議会によると、協議会の基準に合格して登録されたものが「沖縄アグー豚」で、現在流通している「沖縄アグーブランド豚」は、雄の沖縄アグー豚と、雌の沖縄アグー豚や西洋豚を交配したもので、交配のパターンは農場ごとに異なります。

味と体の違いは、協議会と沖縄県食肉センターが一般豚との比較で示しています。アグーは一般豚に比べて発育が遅く、体型は半分ほどで、肉量も生まれる子豚の数も少ないため、生産が難しい豚です。その分、肉質には特徴があります。旨味成分のグルタミン酸をはじめ遊離アミノ酸が豊富で、甘味成分とされるセリン、アラニン、スレオニンも含まれ、精肉時と加熱時の肉汁のロスが少ないと協議会は説明しています。沖縄県食肉センターも、一般肉豚との比較として、肥育日数が長いこと、脂肪の融点が低いこと、霜降りが多く脂肪に甘みや旨みがあることを挙げています。

参考資料・出典

沖縄県「沖縄の畜産業」:アグー約600年、中国伝来。

沖縄県アグーブランド豚推進協議会「アグーブランド豚とは?」:明からの導入、1981年の再発見。

農林水産省「中身汁」:鳴き声以外は全て食べ尽くす。

農林水産省「ラフテー」:三枚肉、砂糖・醤油・泡盛。

内閣府「なぜ沖縄は『豚食文化』なのか?」:15世紀前後の伝来、部位料理。

沖縄県食肉センター「あぐーとは」:一般肉豚との比較で肥育日数が長く、脂肪融点が低く、霜降りが多く脂肪に甘みや旨みがある。グルタミン酸が多く食味がやわらかい。

よくある質問

Q. なぜ沖縄では「豚は鳴き声以外、全部食べる」と言うのですか?
豚を部位ごとに余すところなく使い切る食文化があるからです。農林水産省も内閣府も、「鳴き声以外は全て食べる」という言い回しで、この使い切りを紹介しています。しまくとぅばで肉を「しし」と呼び、「しし」といえば豚を指すほど、豚は身近な存在でした。
Q. ソーキやラフテーは豚のどの部位ですか?
ソーキは骨付きあばら肉で、澄まし仕立てのソーキ汁や、沖縄そばにのせるソーキそばに使います。ラフテーは皮付きの三枚肉を、砂糖・醤油・泡盛で長く煮込んだ角煮です。ほかに耳のミミガー、豚足のティビチ、内臓(中身)の中身汁、顔の皮のチラガー、脂身の塩漬けスーチカーなど、部位ごとに料理の名前があります。
Q. アグーとはどんな豚ですか?
約600年前に中国から伝わった島豚の系統です(沖縄県)。戦後に西洋品種との交雑で頭数が激減し、「絶滅したと思われていた」時期がありましたが、1981年の名護博物館の調査で約30頭が確認され、戻し交配で系統が守られてきました。一般豚に比べて発育が遅く体型は半分ほどですが、旨味成分のグルタミン酸をはじめ遊離アミノ酸が豊富だと説明されています。
Q. 「沖縄アグー豚」と「沖縄アグーブランド豚」は違うのですか?
違います。沖縄県アグーブランド豚推進協議会によると、協議会の基準に合格して登録されたものが「沖縄アグー豚」です。現在流通している「沖縄アグーブランド豚」は、雄の沖縄アグー豚と、雌の沖縄アグー豚や西洋豚を交配したもので、交配のパターンは農場ごとに異なります。