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沖縄の母の日はネギ?園児が育てて贈る「二十日ネギ」のひみつ

編集:365おきなわ編集部
沖縄の母の日はネギ?園児が育てて贈る「二十日ネギ」のひみつ
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沖縄の母の日のネギとは、保育園や幼稚園の園児が育てた二十日ネギを、お母さんへ贈る取り組みです。 母の日といえばカーネーション……と思って沖縄の園の前を通ると、子どもたちが手にしているのは、かわいく飾られたネギです。なぜネギなのか、どんなふうに育てるのか。素朴な疑問をQ&Aでひもときます。

この記事の要点

  • 理由は「ねぎらう」の言葉遊びと食育。自分で育てたものを贈る体験が核
  • 二十日ネギは植え付けから20〜30日で収穫でき、切り残せば再び伸びる
  • 県内一律の伝統ではなく、園ごとの取り組み。起源を示す行政記録は見つかっていない
  • もらったネギは薬味や炒め物に。家庭で「第2ラウンド」を育てる楽しみも

Q. 母の日なのに、なぜカーネーションではなくネギ?

理由はひとつではありません。園の関係者からは、ネギの名前と「ねぎらう(労う)」をかけた言葉遊びがよく語られます。毎日がんばるお母さんへの感謝を、身近な野菜に託して贈ります。花言葉までを公式に定めた資料は見当たりませんが、育てた緑を「いつも元気でいてほしい」という願いに重ねる園もあります。

そして大きいのが食育です。買った花を渡すだけではなく、子どもが水をあげ、伸びていく様子を観察し、自分で育てたものを家族に贈る。育てることと「ありがとう」を結びつけられるのが、ネギの贈り物らしいところです。

Q. どんなネギを育てるの?

園でよく使われるのは「二十日ネギ」や「二十日わけぎ」と呼ばれるタイプです。沖縄では「ハチカネギ」と呼ばれることもあります。植え付けから20〜30日ほどで収穫でき、葉を地際から少し残して切れば、再び伸びてくるのが特徴です。

短い期間で成長が見えやすく、日々の変化を子どもと一緒に確かめられるため、園での栽培に向いています。小さな鉢でも育てやすく、収穫後は食卓で味わえるところもポイントです。

Q. どうやって育てるの?

おうちで飲み終わった牛乳パックを、植木鉢のような容器に再利用する方法が定番です。洗って乾かしたパックに土を入れ、ネギの苗や根元を植えたら、日当たりと水やりを確認しながら育てます。容器には子どもが絵や似顔絵、メッセージを描き、世界にひとつだけの「ネギの花束」に仕上げます。

Q. 沖縄のどこでも行われているの? 起源は?

ここは少し注意が必要です。ネギを贈る習慣は、沖縄県全域で一律に行われる伝統というより、保育園や幼稚園を中心に根づいた取り組みです。琉球新報の取材では、那覇市の首里当蔵保育園が少なくとも20年前から準備し、あじゃ保育園では40年前から栽培に取り組んでいた、と園の担当者が話しています。「うちの園ではやっていなかった」という県民もいます。

始まった時期や最初のきっかけを示す行政の記録は、いまのところ見つかっていません。育てやすく費用も抑えやすい食育の教材として、保育士同士の情報交換を背景に広がった、というのが取材で語られる見方です。

「育てて贈る」は、食育の王道でもあります

園のネギ栽培は、実は国の食育の考え方とも重なります。2005年に制定された食育基本法は、食育を「生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの」と位置づけ、食への感謝の念や理解を深めること(第3条)、食料の生産から消費までのさまざまな体験活動を通じて理解を深めること(第6条)を基本理念に掲げました。学校や保育所等については、農場等における実習や食品の調理など「様々な体験活動を通じた子どもの食に関する理解の促進」が、講ずべき施策として明記されています(第20条)。

沖縄県も「第4次沖縄県食育推進計画〜食育おきなわ うまんちゅプラン〜」(令和5〜8年度)で、こどもの発達段階に応じた食育の推進や地産地消、食文化の普及・継承を重点課題に据えています。市町村の食育推進計画でも、保育園・こども園で季節に応じた栽培・収穫活動を行い、食への意識を高める取り組みが位置づけられています。園のネギづくりは、こうした「体験して学ぶ食育」を、母の日という家庭の行事につなげた身近な実践例と言えそうです。

二十日ネギは、沖縄の食卓に近い野菜

園で使われる二十日ネギ(二十日わけぎ)は、ネギとタマネギの雑種とされるわけぎの仲間で、緑黄色野菜のひとつです。苗の専門店の案内では「沖縄料理でよく使われます」と紹介され、わけぎ類は沖縄で「ビラ」とも呼ばれます。薬味としてはもちろん、炒め物にも向く、食卓に近い野菜です。

栽培の面でも、母の日に合わせやすい特徴がそろっています。春植えと秋植えができ、収穫は周年可能で、春の旬は3月上旬から4月下旬ごろ。植え付けから20〜30日で収穫できる早生のため、春に植えて母の日に間に合わせる園のスケジュールにも乗りやすい野菜です。さらに、地上3〜5cmほどを残して葉を切れば、肥料を与えながら2〜3回ほど収穫を繰り返せます。贈られたネギは食べ切って終わりではなく、家庭の窓辺で「第2ラウンド」を育てる楽しみも残してくれます。

Q. もらったネギはどうする?

観賞用の花と違い、ネギはその日の食卓へ続いていきます。沖縄そばの薬味やみそ汁、炒め物、チャンプルーなどに使えば、子どもが「これ、ぼくが育てたネギだよ」と話すきっかけに。園によっては、収穫したネギをヒラヤーチー(沖縄風のお好み焼き)にして味わうこともあります。

育てる、贈る、食べる。そのすべてが家族の会話になるのが、沖縄の母の日にネギを贈る風景のいちばん素敵なところかもしれません。カーネーションとは違う、小さな緑の贈り物に込められているのは、沖縄の「アンマー(お母さん)」への大きなありがとうです。

参考資料・出典

琉球新報「『母の日』にネギ!? 沖縄・園児の定番プレゼント」:首里当蔵保育園、あじゃ保育園への取材。ねぎらい、食育、牛乳パック。

花の大和「20日わけぎ 育て方・栽培方法」:植え付け後20〜30日で収穫、地際を残して再生。

農林水産省「わけぎのぬた 広島県」:わけぎはネギ属で、株が分かれて増える。 食育基本法(法務省 法令翻訳データベース):食育の位置づけと基本理念(第3条・第6条)、学校・保育所等における体験活動を通じた理解の促進(第20条)。

沖縄県「沖縄県食育推進計画(食育おきなわ うまんちゅプラン)概要」:県の推進方向(家庭、学校・保育所等における食育の推進など)。

豊見城市「第7章 食育推進計画」:第4次沖縄県食育推進計画の重点課題と、保育園・こども園で季節に応じた栽培・収穫活動を行う取り組み。

苗木部「二十日わけぎ わけぎの特徴と育て方」:沖縄料理でよく使われること、「ビラ」の別名、収穫時期と切り残しによる再生。

よくある質問

Q. なぜ母の日にネギを贈るのですか?
理由はひとつではありません。園の関係者からは、ネギの名前と「ねぎらう(労う)」をかけた言葉遊びがよく語られます。そして大きいのが食育です。買った花を渡すだけではなく、子どもが水をあげ、伸びていく様子を観察し、自分で育てたものを家族に贈る。育てることと「ありがとう」を結びつけられるのが、ネギの贈り物らしいところです。
Q. どんなネギをどう育てるのですか?
園でよく使われるのは「二十日ネギ」や「二十日わけぎ」と呼ばれるタイプで、沖縄では「ハチカネギ」と呼ばれることもあります。植え付けから20〜30日ほどで収穫でき、葉を地際から少し残して切れば再び伸びてきます。おうちで飲み終わった牛乳パックを植木鉢のような容器に再利用する方法が定番で、容器には子どもが絵や似顔絵、メッセージを描いて仕上げます。
Q. 沖縄のどこでも行われている習慣ですか?
県全域で一律に行われる伝統というより、保育園や幼稚園を中心に根づいた取り組みです。琉球新報の取材では、那覇市の首里当蔵保育園が少なくとも20年前から準備し、あじゃ保育園では40年前から栽培に取り組んでいたと園の担当者が話しています。始まった時期や最初のきっかけを示す行政の記録は、いまのところ見つかっていません。
Q. もらったネギはどう使えばいいですか?
その日の食卓へつなげられます。沖縄そばの薬味やみそ汁、炒め物、チャンプルーなどに使えば、子どもが話すきっかけになります。地上3〜5cmほどを残して葉を切れば、肥料を与えながら2〜3回ほど収穫を繰り返せるため、家庭の窓辺で「第2ラウンド」を育てる楽しみも残ります。園によっては、収穫したネギをヒラヤーチー(沖縄風のお好み焼き)にして味わうこともあります。