琉球王朝ゆかりの伝統菓子「くんぺん」──ごま香る沖縄の銘菓

沖縄のお菓子売り場で、ひっそりと昔ながらの存在感を放つ「くんぺん」。派手さはないけれど、琉球王朝の時代から県民に愛され続けてきた、由緒正しき伝統菓子です。その魅力をたっぷりご紹介します🌺
中国から渡った「光餅」が、琉球王朝お墨付きのお菓子になるまで
くんぺんのルーツをたどると、なんと中国に行き着きます。漢字では「薫餅」と書きますが、その起源は中国菓子の「光餅(くんぺん)」だと考えられています。光餅は小麦粉と塩で作る素朴なパンのようなお菓子で、一説には、倭寇を退治したと伝わる武将・戚継光が戦のときの携帯食として用いたのだとか。
その光餅が、中国と琉球を結ぶ進貢船や冊封使の往来とともに沖縄へ伝わり、やがて琉球菓子として独自の進化を遂げたといわれています。そして琉球王国の時代には、「御用達菓子」として王様の食卓にも献上される高級菓子に。それぞれの製菓店が秘伝のレシピを守りながら、門中(父系の血族集団)ごとに製法を受け継いできたとも伝わります。
首里にある「新垣カミ菓子店」は、実に伝承二百年をうたう老舗。雲上淑規という菓子職人が中国から入ってきた菓子に日本の技術や近隣諸国の製法も取り入れて、琉球王朝菓子を作り上げたのが始まりとされています。
ちなみに呼び方もさまざまで、「くんぺん」「こんぺん」「コンペン」と表記ゆれがあります。近年は「薫餅」の字を当てることが増えましたが、これは光餅のなまりに由来するともいわれ、同じお菓子を指しています。沖縄の歴史そのものが詰まったお菓子なのです。
香ばしいごま×ピーナッツ餡。お供えにも、おやつにも、茶菓子にも
そんなくんぺんのおいしさの秘密は、なんといっても「皮」と「餡」のハーモニー。外側は小麦粉と砂糖、卵などで作った生地に、香ばしく煎ったごまをたっぷりまぶしています。中にはコクのあるピーナッツ餡を包み込み、じっくりと焼き上げます。
材料は基本的に、小麦粉、砂糖、鶏卵、ごま、落花生(ピーナツバター)、水飴、黒糖など。地域やお店によってレシピは少しずつ違っていて、白ごまを使う店、黒糖を効かせる店、隠し味にオリーブオイルを使う店など、その違いを食べ比べるのも楽しいものです。
食感はしっとりほろりとしながら、口の中でピーナッツのまろやかな甘さとごまの香ばしさがふわっと広がります。上品な甘さなので、お茶菓子やおやつにぴったり。さらに、沖縄では清明祭(シーミー)や法事のお供え菓子としても欠かせない存在です。重箱の御三味(うさんみ)と一緒に、個包装のくんぺんを添える家庭も多いそうです。
老舗を訪ねて、店ごとの味を食べ比べ
購入できるのは、伝承二百年の新垣カミ菓子店(首里)や、石垣島の伝統銘菓として知られる宮城菓子店、那覇の座波菓子店など。5個入りで500円〜600円前後と手頃な価格で、空港や県内の売店、オンラインショップでも手に入ります。
お店によって皮の焼き加減やごまの香り、ピーナッツ餡の甘さが少しずつ異なるので、旅先で見つけたら食べ比べてみるのもおすすめです。人と被らない沖縄土産を探している方にも、ぜひ手に取ってほしい一品です🌺
沖縄の心を包んだ、素朴で由緒あるお菓子
中国から琉球へ渡り、王朝の御用達菓子となり、いまもお供えやお茶の時間に親しまれるくんぺん。ごまの香ばしさとピーナッツ餡のやさしい甘さを味わえば、沖縄の長い歴史と、人から人へ受け継がれてきた手仕事が見えてくるかもしれません。


